東京藝術大学彫刻科では1997年より、歴史ある東京藝術大学大学美術館陳列館を展示空間として、「空間の変容」「彫刻-具象表現の解体と構築」「垂直の時間 彫刻-過去・現在・未来-」「彫刻の身体」といった、現代における彫刻のありようを問う展覧会を隔年ごとに開催してきました。今回はその第5回展として「スキノデリック-彫刻の表層-」と題した展覧会を企画いたしました。
展覧会タイトル「スキノデリック」とは、サイケデリックをもじつた造語ですが、これはpsyche(精神)をskin(皮膚)へと転換させることで彫刻表現の在り様、捉え方の再構築をはかる、という意図を含んでいます。ここで言う「皮膚」は、字義通りの意味というよりは比喩としての「皮膚/表層」であり、皮膚という概念を“表面”“身体”“場”といった彫刻表現が抱える様々な問題の交差する“結節点”であると捉え、そこから新たな彫刻のビジョンを提案していくことが、この展覧会のねらいです。
出品作家は本学彫刻科スタッフに加え、学外より伊藤誠、中村哲也両氏を招待作家として迎えます。また、本学先端芸術表現科、古川聖氏の協力のもと、会場全体を舞台とした、彫刻と音との関わりを考えるサウンド・インスタレーションも併せて行います。
出品作家=伊藤誠/奥田真澄/北郷悟/清水淳/高見直宏/塚本悦雄/中村哲也/藤原彩人/吉賀伸/古川聖
テキスト=谷川渥
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