アフガニスタン 流出壁画片の修復展
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会期: |
2011年6月25日(土)- 7月10日(日)
月曜休館
午前10時―午後5時(入館は午後4時30分まで)
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会場: |
東京藝術大学大学美術館陳列館2階 |
観覧料: |
無料 |
主催: |
東京藝術大学 文化財保存学 保存修復油画研究室
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後援: |
公益財団法人 文化財保護・芸術研究助成財団
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本展覧会は、アフガニスタンのバーミヤーンおよびフォーラーディ遺跡からわが国へ流出してきた仏教壁画の修復展です。これらの壁画片は両遺跡から不当にも剥ぎ取られて古美術品として売られていたものですが、これらは壁画片であっても、アフガニスタンの人々にとってはかけがえのない誇りある貴重な文化遺産です。これらを「流出文化財保護日本委員会」が「文化財難民」として指定し、保護していましたが、保存状態が不安定なため修復してアフガニスタンへ返還することになりました。修復作業は本研究室が中心となってプロジェクトチームを組織し、その処置に当たりました。土壁を対象にした修復の先行事例が極めて少ない中、修復方法や材料について新たに模索し処置に当たった結果、それらに施した修復方法や修復材料についてこれまでになく前進させることができたと考えます。その成果を修復した壁画とともに展示し報告いたします。処置した壁画片は大小42片、それらを28額装にまとめて展示いたします。
修復内容は、出来る限りオリジナルを尊重し、すでに修復の手が加わっている箇所へは最低限の再修復で対応、さらにまた、返還後の公開展示も考慮して、額装にも壁画の特徴を活かした工夫を施しました。また壁画の裏打剤には人工衛星のアンテナに使用されている最先端の三軸織り布を採用するなど、壁画修復の分野においても先端的な材料を取り入れた点でも興味深い内容となっています。
修復を終えた壁画は、当時の仏教壁画の様相を十分感じ取られる内容に仕上げることができたと自負いたします。さらに、壁画を構成する土壁層や彩色層の分析調査も同時に行い、そこから得られた分析データを参考に想定復元模写も行いました。その結果、用いられた諸材料や彩色技法は実に理にかなった合理性を示し、色彩は華やかでありながら大変落ちついた色調であることもわかるなど、その成果も含めて今回初めて28額装すべてを展示いたします。
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問い合わせ: |
東京藝術大学 文化財保存学 保存修復油画研究室 050-5525-2278 |