高山登の「物質と記憶の関係」をテーマとした枕木のインスタレーションは、自身のアイデンティティーに裏付けられた深淵な記憶と、枕木の放つ重厚な物質の印象が、空間上に絶妙に融合しています。それは、かつてアジアを侵略した日本の鉄道敷設の記憶に結びつくことを、高山は繰り返し語っています。本展覧会では高山自身がディアスポラとつぶやく半世紀余りに渡る活動の根底を明らかにしながら、西洋美術史的同時代美術に対するカウンターとして、東洋的日本的独自性による活動の軌跡を明らかにします。そして、多くの人々へ70年代からの気風を伝え、新たな展開を人々へ力強く語りかけます。
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