東京藝術大学大学美術館 The University Art Museum, Tokyo University of the Arts

展覧会・催し物

今村有策退任記念展 ニューオルタナティブズ|問いの研究所

日程2025年9月27日(土) - 2025年10月7日(火)

今村有策退任記念展 ニューオルタナティブズ|問いの研究所

会期

2025年9月27日(土)- 10月7日(火)

午前10時 - 午後5時(入館は午後4時30分まで)

ただし、09月28日は19:30まで開館。10月07日は18:30まで開館

休館日

会期中無休

会場

東京藝術大学大学美術館 陳列館 1、2階

観覧料

無料

主催

東京藝術大学美術学部

共催

東京藝術大学大学院美術研究科グローバルアートプラクティス専攻、問いの研究所

助成

公益財団法人 野村財団、公益財団法人 鹿島美術財団、東京藝術大学美術学部 杜の会

キュレーション

家村佳代子、今村宙幹

協力

木戸龍介、加藤康司、赤坂有芽、東京藝大 GAP 専攻、GAP 修了生、今村研究室修了生・在籍生、藝大×東大ベンチプロジェクト、東京藝術大学グローバルサポートセンター、はじめ塾

広報デザイン

寺井恵司

会場設営

スーパー・ファクトリー

展覧会概要

今村有策

教育・研究活動とともにアートやデザイン、建築などさまざまなクリエイティブな分野のプロデュース、キュレーションを行う。磯崎新アトリエ、コロンビア大学建築学部客員研究員を経て、国内外の若手クリエーターの人材育成、国際文化交流を推進するアートセンターであったトーキョーワンダーサイト館長を務める。東京都の文化担当参与としてアーツカウンシル東京の創設、フェスティバル・トーキョー、タレンツ・トーキョー、六本木アートナイトなどの芸術祭を立ち上げを主導する。ベルリン世界文化の家(HKW)、テンスタ・コンストハル(スウェーデン)、PMQ(香港)など国内外の芸術文化機関のアドバイザーを歴任。2018年より東京藝術大学大学院教授グローバルアートプラクティス専攻。東京藝術大学キュレーション教育研究センター長。東京藝術大学副学長(国際連携)としてシェアードキャンパス、世界展開力事業を推進。

なぜ問いなのか?問いの対話を続け

世の中が答えを求めすぎるあまり、問うことの重要性が忘れ去られていると感じています。建築設計、アートセンターでの活動、大学での教育研究などの実践の中で、問いは常に 私の核にありました。大学で教育研究に携わるようになって驚いたことは、教育も答えを求めているということです。もちろんマーケットも、そして戦争すら答えとして提出されていると 感じるのです。思想家として洋の東西を超えて根底につながる人間の思想を模索した井筒俊彦はこう語ります。

対話という言葉で私は禅文化の歴史的発展のうちに現われてきた極めて特異な対話形式としての「問答」のことを考えていた。Beyond Dialogueとは、言うまでもなく「対話 の彼方」とか「対話を越えて」とかいう意味であるが、主眼とするところは、禅の立場からすると、単に対話を超脱して人間言語がその作用性を完全に喪失し、言語がまったく 働かなくなるようなところに行ってしまい、そしてそれきりになってしまうということではなくて、かえってそのような無言語の場から言葉が出てきて、普通の意味での対話が成立し 得ないようなところで、異次元の対話が成立する、そういう特殊な対話の精神的意義と重要性を指摘し問題にしてみたいというところにあった。だから私の積りでは、Beyond Dialogueとは「対話の彼方」であると同時に、それよりもむしろ Beyond-Dialogueつまり「(対話の)彼方での対話」、常識的に考えられる言動活動の場面の彼方で、あるい は彼方から生起してくる対話を意味する。そのようなものとして禅問答の構造を論じてみたいと思ったのである。(井筒俊彦「対話と非対話─禅問答についての考察─)

ハンナ・アーレントには多くの示唆をもらいましたが、彼女の文章の中にも問いの大切さが語られているところがありました。

思考によって立ち現れる、理性の本性として問わずにはいられない問い―すなわち意味の問い―はどれも、常識やそれを洗練させた我々が科学と呼ぶものでは答えることが できないものだ。(ハンナ・アーレント『精神の生活』)

私が問いたいのは答えを求める問いではありません。個人が切実に問う、問いです。すでに意味が固定化し、情報をやり取りする水平的な対話ではなく、井筒俊彦が禅問答を通し て提示した Beyond-Dialogue「向こう側の対話」ともいえる対話ができればと思います。 少し大袈裟に聞こえるかもしれませんが、生きるとは答えを見つけることではないと考えます。生きることそのものが大切でありながら、答えや成功を求めていないでしょうか?もしかし て世界は答えを求めることで間違ってきたのではないでしょうか? 私はただ生きること、ともにいること、一緒にいることの奇跡が何よりも素晴らしいと感じています。赤子は何もできません。しかし、ただ愛おしいのです。いのちとはそういうものなので はないでしょうか?それは私の愛犬が教えてくれました。答えなき世界。そのようなことを考えるようになってきました。

オープニングトークイベント

9月28日(日) 2:00 - 5:00pm
東京藝術大学大学美術館陳列館2階
なぜいまオルタナティブなのか? オルタナティブの向こうには何があるのか ?
・レザ・アフィシナ(ルアンルパ)
・アンソニー・ガードナー(オックスフォード大学現代美術史教授、美術学 部大学院学部長、前ラスキン・スクール・オブ・アート所長)
・ 今村有策
* 日英逐次通訳

オープニングレセプション

9月28日(日) 5:30 - 7:30pm

藝大食樂部(元大浦食堂)

クロージングイベント

10月7日(火) 4:00-6:30pm
東京藝術大学大学美術館陳列館2階
『今の社会にアートはどんな問いを投げえるのか?』
毛利嘉考(東京藝術大学教授)、今村有策 ほか

参加者

アハメッド&ラシッド・ビン・シャビブ、アリソン・グリーン、アンソニー・ガードナー、アピチャッポン・ウィーラセタクン、アラヤー・ラートチャムルンスック、ボスコ・ソディ、キャシー・ミリケン、永岡大輔、坂本大三郎、ダニー・ユン、クリッティヤー・カーウィーウォン、鈴木ヒラク、遠藤一郎、イルワン・アーメット&ティタ・サリナ、ジャスティン・サイモンズ、カミン・ラーチャイプラサート、日比野克彦、二藤健人、キャズ・T・ヨネダ、クゥワイ・サムナン、mamoru、マルワ・アルサ二オス、岩井優、河合政之、ムン・キョンウォン&チョン・ジュンホ、下道基行、オル太 オン・ケンセン、白雙全、ポール・ヘイウッド、ラクス・メディア・コレクティヴ、ルアンルパ、安部良、木戸龍介、大巻伸嗣、ソム・スパパリンヤ、Takram、桑久保徹、栗林隆、トラン・ミン・ドゥック・フライングベイ、小沢剛、トゥアン・マミ、ウィット・ピムカンチャナポン、川久保ジョイ、毛利嘉孝、雨宮庸介、チャン・ヨンヘ重工業、田村友一郎、渡辺裕紀子、毛利悠子

今村研アーティスト

木戸龍介、石井トモ、池上夢与、内田拓海、ビラバイタヤ・ユイ、葉楓、サリーナー・サッタポン、伊藤悠希、シクステ・カキンダ、椎名素代、カタリーナ、キム・ミンキュ、ソ・ミョンソプ

問い合わせ先

美術研究科グローバルアートプラクティス専攻 : gapstaffs@ml.geidai.ac.jp
ハローダイヤル:050-5541-8600

展覧会WEBサイト

Instagram: laboratory_of_questions 連日、今村とゲストによるワークショップを開催します。
詳細に関しては Instagram で随時更新します

天候・災害等の状況により、臨時に休館、開館時間の変更を行う場合があります。
ハローダイヤル【050-5541-8600】でご確認ください。

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